担当者名:特定非営利活動法人SEAN(シーン)
ユーザ登録して広告アイコンにクリックをよろしくお願いします!

遠矢 家永子 
副理事長・事務局長
高槻市市民公益活動サポートセンター管理運営委員会委員長
(社福)大阪ボランティア協会評議員
絵本「100万回生きたねこ」の白ねこの人生
今日は原稿作成のための会議。
テーマは、「構造的な力関係・人権の搾取」
それぞれのテーマにおける専門の方の集まりで、
毎回毎回、本当に勉強になるし、共通言語を
もつ皆さんとの会話はエキサイティングで楽しい。

私がみなさんに話したことで盛り上がったのは、
絵本「100万回生きたねこ」の話だった。
とてもユニークな構成で、ロングランで人気の絵本である。
SEANが2003年に、絵本の中のジェンダーを調査し、
報告書として発行した時に取り上げた絵本の1冊だ。

「絵本100冊読んで見えてきたもの」に
次のようなコラムを私は書いている。

***

100万回生きたねこ 佐野洋子作 講談社(1977年発行)

 100万回死んで、100万回も生きたりっぱなねこがいた。
1回も泣いたことのない自分だけを愛していたとらねこが、
美しい白いねこと出会い、その白いねことの間に子どもをもうけ、
白いねこが死んだ日にはじめて泣き、後を追うように死んで
二度と生き返らなかったというお話。

 絵本の中では、白いねこは最初から最後まで
「ええ」と「そう」しか言わない。
「おれは100万回も死んだんだぜ!」と言うとらねこに
見向きもしなかったはずの白ねこが、とらねこを
いつの間にか受け入れ、子どもまで産む。
四六時中そばにいるとらねこを、ただだまって受け入れていく白ねこは
典型的なステレオタイプの女性像ではないのか?

 白ねこが年老いて息を引き取った後、後を追うようにとらねこは死ぬ。
その話から、大学の調査による、高齢者の
死亡要因の新聞記事を思い出した。
男性は「配偶者がいないこと」、女性は「配偶者がいること」が
死亡につながるハイリスク因子であるという調査の記事だ。
 その関係を物語にしたようなストーリーで、
白ねこの気もちを考えると「死んでからも追いかけてこないでよ!」
という心境になってしまった。

***

もう、7年も前に私が書いたコラムであるが、
会議に参加していたみなさんが「好きだった絵本だけに
ショックだけど、目から鱗だ」と、大いに話が盛り上がった。

改めて、自分の書いたコラムを読み返し、「白ねこ」という風貌もまた
ステレオタイプであったんだと気づいた。
白ねこは、主体的な生き方や主張はしない。
ただ、「おれ」のそばに黙って寄り添い、受け入れ、
「おれ」の子どもを産み育てるのだ。
この話を美しい話として涙することは、無自覚のまま
男性視点に飲み込まれている証拠。

違った角度から、社会を読み解いとき、
「おお〜そうだったのかぁ」と気づきを楽しむ、
そんな力をこれからも養っていきたいものだ。
2010-10-17 01:07 | 記事へ | ジェンダーの視点 | コメント(0) | トラックバック(0) |
トラックバックURL:http://blog.4en.jp/nposean/1/trackback/76/
コメントを記入
(800文字以内)
お名前(必須)
パスワード:
メール⁄URL:
   
※ご投稿頂いたコメントは、団体の管理者により公開することができます。
公開されるまでは非公開となります。